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NHK BS2「とことん!石ノ森章太郎」

2008年3月31日 Creatorsトーク

「サイボーグ009」「仮面ライダー」などで、ある世代に圧倒的なヒーロー像を植え付けてくれた、 萬画家・石ノ森章太郎先生の没後10年を記念した特別番組が、NHK-BS2で7夜連続放送されました。
[NHK公式サイト]
*2ちゃんの実況板ではPart115まで行ったみたいです。


28日(金)の「009」特集では、希代の天才が作り出した、超人であるヒーローの苦悩と、自らを追い込むかのような逆説的な展開を、すっごく熱く語ってました。
とくに未完のまま30年が過ぎた「天使編」「神々との闘い編」を完結させるために、病床で息子たちにストーリーラインを託したというエピソードは、テレビに釘付け。
「実験をせずに、なにが表現か!」石ノ森先生が息子に残した言葉は、石ノ森作品がテレビでは子供向けヒーローものながら、なぜ原作はアートと向き合うような戦慄と哲学性を帯びていたのか、思い出させてくれました。


そして最終日の29日(土)は、夜8時から深夜3時までの生放送で「仮面ライダー」特集!
歴代ライダーのテレビ作品から、ピックアップされた回を完全放送してくれた上に、ゲストの島本和彦さんが漫画家から見た原作のすごさを「これぞ!石ノ森〜!」と熱弁し、なんだか異様にテンションの高い週末の夜となりました。

あらためて今みると、...ああ、そうだった!と、忘れていた時代性や設定が、子供時代の思い出とともにフラッシュバックしてきて、いつしか自分はただの44歳児(キモイ)となっていたのでした。

テレビ作品にも夢中になりましたが、どちらかといえば原作派だった自分。
島本さんが「石ノ森〜!」と叫ぶ、漫画版のスタイリッシュな画面構成と、見せ絵というべき見開きの1枚画の力強さに、自分も相当影響されていたのかも、と気づかされました。

当時「デビルマン」の永井豪とともに、自分にとって「神」だった石森章太郎。
石森さんの作品は、なんていうか、クラスにいる絶対的に勉強のできる子みたいな雰囲気があったのです。「1から10まで言わずとも、5まで言えば10分かる子」っていませんでしたか?そういう自分とはレベルの違う思考回路を持った子への憧れと自分との距離感が、まさに石森章太郎作品に惹かれた理由だった気がします。
作品に描かれているヒーローと、作者を同一視していたのかもしれませんが、作品の内容の深さに、子供には手の届かない意識レベルを感じていたのでしょう。
とくに「仮面ライダー」は、当時朝日ソノラマから単行本がリリースされていて、他社から出ていた単行本と比べると、紙がすごく白くて、原稿の黒がとてもシャープに目に映りました。スタイリッシュな画面構成とともに、 なにかが違うと子供の意識レベルで感じ取っていたのでしょうね。


身近にいるヒーローと自分との距離感って、よく松本大洋の作品に流れるテーマとして語られますよね。男の子には、ヒーローが必要なのです。
そして、ヒーローはずっとヒーローでいて欲しいのです。
大人になっていく段階で、人間ですから、いろんな挫折や幻滅を味わうかもしれませんが、ある時期にヒーローだった人物には、やはりほのかな憧れがフリーズドライされていると思います。

今の自分のヒーローは誰なんだろうな、とあらためて考えてしまいます。
そのヒーローは、石ノ森の作品のように、圧倒的な敵を前にして、自らの存在を自分自身に問うているのでしょうか...。自分の敵は自分であると、悪夢をみるのでしょうか...。

 

実家に置いてきたコミック本は、いまも置いてあるのかな?

written by Hidden:アイデアビューロー・Webチームのアートディレクター。

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