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Designer meets Designers 03

2008年5月12日 Creatorsトーク

5月9日、MdN主催のWebクリエイター向けイベント「Designer meets Designers」に参加してきました。
今回のテーマは「現場で生かせるWeb標準の知識とテクニック」。
デジパの加藤善規氏ミツエーリンクスの木達一仁氏デザイナーの長谷川恭久氏IMJの山本聰氏の4名が、それぞれの立場から「Web標準」なるものの正体を見極め、表層的な実装だけで捉えるのではなく、本質的な考え方を意識してWebを作っていこうぜー、という内容でした。

ぼく自身「Web標準」という言葉をはじめに意識したのは、2006年の春頃だったと思います。
中途半端な言葉だなぁと思いつつ、ソースをXHTML+CSSで文書構造と視覚表現に分離させることだよね、程度の理解でした。
その頃はまだ、「Web標準」とはいえないレギュレーションをもった企業のサイト制作も多く、W3Cの仕様は理想であっても、Tableを併用したハイブリッド・タイプが現実的でしたから。
アクセシビリティを最優先させた「NHK厚生文化事業団」サイトのリニューアルで、「ウェブコンテンツJIS(JIS X 8341-3:2004)」に真正面から取り組みながらも、「Web標準」という言葉との関連づけは正直あいまいなものでした。
(追記:MT構築とマークアップを担当したKは、ちゃんと「Web標準」を意識しつつも使い勝手との狭間で悩んだ部分もあったと呟いていました)

「Web標準」を否応なく意識させられたのは、IE7のリリースです。
ぼくらが使っているメインブラウザはFireFoxなんですが、世の中の大半以上は、IEユーザー。
IE7のベータ版がリリースされた時点で、IE6のためのCSSハックの一部が、IE7で表示の障害になるということから、できるだけハックを避けW3Cの仕様に沿ったものへ向かうべきだ、とここでようやく現実に実感できたわけです。
そしてTable組み時代の「どのブラウザでも同じように表示されなくてはいけない」という呪縛からも解放されました。
「どのブラウザでも同じに見えることが大切ではなく、きちんとした文書構造で、どのブラウザでも平等に情報を得られることの方が重要」であるってね(CSSを適用しないようにしても、文書として意味が通る構造になっていること)。
ここまでの道のりは長かったですけど。

ところが、制作サイドでは「Web標準」に意識が切り替わっていながら、ビジネスサイドではJPEGでプレビューしたラフデザイン通りにブラウザ表示できていればそれでよし、という意識がつづいていました。
「Web標準」という言葉には、「SEO」が持つ魔法の呪文のようなわかりやすい説得力がないんですよね。

 

「Web標準」という言葉のオリジナルは「Web Standards」。
Standerds=標準、直球です。ただしStanderds、標準ともに意識していなかった意味があることを長谷川氏が言ってくれました。「おきて、しきたり」という意味もあるのです。
おお、これは、忍びの世界ではないですか!抜け人は世界の果てまで追われ、抹殺されてしまうのですね(笑)
それは冗談として。ブラウザごとに勝手な仕様を作られて、もっともっと大変になってしまったかもしれない未来を、仕様に沿った開発を頼むよ!と動いてくれたThe Web Standards Project(WaSP)の労が、最新ブラウザによって実ってきました。
だから。Web制作者自身が「Web標準」の流れの障害になってしまってはいけない、と語った加藤氏の言葉には、おおきく頷きましたよ。


ウェブコンテンツJIS(JIS X 8341-3:2004)は、WCAG1.0、2.0をともに踏まえ、企画・設計・運営までの指針をフォローしている完成度の高い仕様。 今現在は、ウェブコンテンツJISに準拠していることが、イコール「Web標準」準拠であると言っていい、と加藤氏の言葉。(WCAG2.0は現在策定中)


written by TZK:アイデアビューロー・Webチームのアートディレクター。

コメント

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  1. 01

    Posted by ヤスヒサ 2008年5月12日 21:22

    先日はおつかれさまでした。
    IE7 はもっと早く Windows Update 経由で広まってくれたら良かったのにとよく思います。海外では 06 に Windows Update 経由でアップデート出来たのですが、日本では意図的に遅らせたとのこと。なんとなく理由は分かりますが、それが発展の隔たりになっていたような気がしますし。海外では今年中には IE8 が出る訳ですが日本でもいち早くアップデート出来るようになってほしいものです。
    個人的に IE7 の登場で積極的に透過 PNG が使えるのがうれしいです。

  2. 02

    Posted by TZK 2008年5月12日 22:36

    ヤスヒサ>>

    講演、おつかれさまでした。
    作り込んだプレゼン画面、さすがでしたよ。

    Session1での資料で、アメリカではIE7とIE6のシェアが
    ほぼ同じくらいなのに対して、日本ではまだ圧倒的に
    IE6のシェアが笑っちゃうほど多いというグラフがでましたね。

    Windows UpdateのIE7アップデートを回避する方法が、
    朝日新聞に載ってしまう日本ですから(^^;

    IE6のシェアがもっともっと低くなって、安心して透過PNG
    使えたらなぁ。ハーフトーンだらけになるのを自分でセーブ
    かけないと(笑)

    …なにかの奇跡が起きて、ブラウザシェアNo.1が
    Safari3になるなんてことあるかなぁ。

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