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トーキョー・デザイナーズ・ウィーク 2010

2010年11月 3日 Creatorsトーク,レビュー

神宮絵画館前で開催された「TOKYO DESINERS WEEK 2010」へ行ってきましたよ、秋晴れの気持ちいい最終日に。
今年のテーマは、「環境」×「デザイン」
デザインという領域で「環境」に切り込むことは、ココロやライフスタイルを自然環境破壊につなげなくとも豊かに過ごせる提案です。
リサイクル、リユース、ムダを出さない。徹底した節約主義ではギスギスしてしまう。不便だったりめんどくさいことなら続かない。
そこになにか楽しいことやカッコよさを見いださないと!

展示テント前の学生展示

規模の大小かかわらず、日本ばかりでなく台湾、中国、韓国からの参加もあった企業とデザイナーのブーステント。
TOTOの雨に打たれているような感覚の天井からのシャワーは、ココロの癒し。
工事現場の仮設杉足場板を再利用した、味のあるウッドインテリアのASHIBA。
廃棄ドアの鍵を再利用したペーパーナイフが面白かったNAKADAI PROJECT。
そして仮設トイレでは水を使わず消臭効果のあるもの。
直接自然環境にはつながらないけれど、アイデアの効いたデザイングッズ。
そして流行の自転車関係のブースがたくさん出てた。

ディスカッションテント

屋外では、美大を中心にさまざまな大学からの作品が所狭しと。まるでフリーマーケット。さらに貨物用コンテナが会場の外壁を囲み、コンテナ1つ1つが小さなギャラリーとして、さまざまなジャンルの展示が行われています。

もうね。超楽しかった。
ビジネス系展示会を訪れるスーツ族とはまったく違う客層。あえて言うなら、美大系な人種。小さな子供を連れた親子もたくさん。でもみんなアート作品を楽しんでる。
興味深そうにコンテナを覗き、展示物を挟んで作者と会話してる。
どこもかしこもスマイリー!いいなぁ、すごく居心地のいいイベント。

みんなスマイリー

廃棄されるものを再利用するって、ともすれば非常事態時に応急処置で生活環境を再構築した見た目になりがち。たしかにそういう面はありますが、新しい技術やアイデアをプラスすることで、お説教くささを感じない五感に触れる楽しさに変換できる。
これがデザインの力なんですね。新しい価値観の提案。それは決して不快なものでもコワイものでもない。

カラーカラーカラー

逆に、生と死は常に身近にあるもの。を感じさせたのが会場内で開催されていた「JALAPAGOS展」。
ケータイで使われる「ガラパゴス」という言葉。国際標準からずれて、日本独自の進化を遂げてしまった<残念さ>を込めて使われているこの言葉を、他に類をみない個性という<孤高さ>に置き換えて集められた、日本を代表する現代アートの作品。
スーツ族の屍が積み重なって山の景観をなす会田 誠氏の圧倒的な絵画。僕個人が大ファンの画強・天明屋 尚氏の男くさい日本画。脳の中にある物語を平面にすべて出し尽くしたかのような池田学氏の緻密な絵画。消え入るような細い描線による地獄画の野田 幸江氏。木彫りの仏像を作るタッチで掘られた森 靖氏のビッチでハッピーな女性像。
どの作品も圧倒的!すっげーコレクションです。
日本人の根底には、こんなにも死生観が息づいてるのか。ぱっと散るサクラに美を見いだす国民性に近いものがある?
興味深い。実に、興味深い。ヨーロッパ的退廃の美とは、まったく違うところも。

ってなことで、広告として使うのは問題ありでも、人のココロを掴む自由さをデザイン/アートは持ってるんだ!という根底的なことを気づかせてくれた秋の1日でした。 来年も楽しみ!

 

written by TZK:アイデアビューロー・Webチームのアートディレクター。

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