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国立新美術館で開催された文化庁メディア芸術祭受賞作品展を、最終日に見てきました。昨年も人がいっぱいでしたが、今年も最終日の日曜とあって、後から後から人が流れ込んで大賑わい。
すでに評価が確立された過去のアートではなく、今を生きるぼくらの中から生まれた新しいカルチャーアートに触れる機会を、これだけ多くの人が足を運んで見る、[TOKYO]のポテンシャルの高さを思い知りました。
今回の展示で個人的に感じた傾向は「気づき」と「ネットとリアルのボーダレス感」。いくつか印象に残った作品をピックアップで紹介します。
優秀賞 「NIGHT LESS」 田村 友一郎
→Googleストリートビューの画像を連続させて道を走る動画に仕立てた作品。その映像には個人的な記憶の独り言と、無線の会話を重ね、不思議な情緒感と緊張感を生んでいました。写し出されるストリートは、ネブラスカから千葉、アラスカ、ポルトガル、マルセイユにまで世界を瞬時に移動する。道が一瞬で他の国のどこかの場所にかわっていく、映画的でありつつネット的な感触。映像はすべてストリートビューからの画像だけ。撮影されずに作られた映画。それが成立することに「してやられた!」と感じました。
審査委員会推薦作品 「Edge of Love3」 Lyndsay MARTIN
→数枚に渡るデジタルフォト作品。1枚の作品には、半分に家の中の一部分、半分に女性の姿。しかし女性の顔の部分が黒くつぶれ、もしくは黒いマスクで覆われている。うつろに写っている女性に、「貞子」のような得体の知れない怖さを感じる。これは恋愛関係が壊れた後の個人的喪失感をテーマにした作品とのこと。行き場のない感情が、どす黒い心象風景として写真に表現されていました。
審査委員会推薦作品 「駅前図鑑 スリーディー!」
→駅前の風景、商店街のアーケードを写真を組み合わせて、ハガキ大で立体的に立ち上がるポップアップ作品に仕上げてある。ぼくらが現在ヤマハの「飛び出すグリーティングカード」シリーズを手がけていることもあって、興味津々で見つめてしまった。立体的に立ち上がる仕組みそのものも工夫があるのですが、たちのぼる情緒感がすてきだった。
*鉄道模型に光を当て、その影がつくるカタチに驚きを覚えるという「10番目の感傷(点・線・面」の評判をBlogで目にしていたのですが、人が多くて入れなかった。残念(>_<)
大賞 「IS Parade」 林智彦/千房けん輔/小山智彦
→auのプロモーションサイトとして公開された、TwitterのID登録をすることで、フォロワーのアイコン写真を顔にした小さな人物がパレードしていく作品。
これはリアルタイムにブラウザでみて、Twitterでこんな共有体験をしかけてきたか!と悔しく思ったものでした。うまい!
見知らぬ人々で埋められたパレードの中で、ツイートすると自分のアイコンから吹き出しがでて文字が現れる。大勢の中の自分。参加している感触。仕掛けは単純ですが、効果的なプロモーションサイトでした。大賞ですか、おめでとうございます![→http://isparade.jp/]
優秀賞 「無限回廊 光と闇の箱」 鈴田健/藤木淳/鈴木達也
→RlayStaton Move用ゲーム。空間にバラバラと浮遊しているブロックに光をあて、その背後にできる影の上に影の人物が歩いていく。ブロックの影は、光源の位置を変えることで、繋がっていったり意外なカタチになったり。ゲームに疎い僕なので、この会場ではじめて見て、発想の自由さに思わず目から鱗でした。[→公式サイト]
優秀賞 「アルクアラウンド/サカナクション」 関和亮
→サカナクションのミュージック・ビデオ。昨年MTVでオンエアされているのを観て、「おおお!こいつはすげぇぇ」と画面に惹きつけられた作品が、このようなカタチで受賞されたことが嬉しい。
歌詞の文字がいろいろなスタイルで並べられていて、歌に合わせてその文字が画面に入ってくる。圧巻は、スタンドにセットされた解体された文字が、カメラが移動していくと、歌に合わせたタイミングで一瞬きちんと文字がそろって見えるところ。
奨励賞 「iPad magic」 内田伸哉
Keywords: メディア芸術祭, Japan Media Arts,第14回
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