電子書籍の世界は熱いのか?[レビュー]
(2012-07-07) by TZK


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東京ビックサイトで開催された「第19回東京国際ブックフェア」に行ってきました。
電子書籍の統一フォーマットであるePub3形式を採用した閲覧環境が、このイベントに合わせてあちこちから発表。
なかでも「Yahoo!ブックストア」がHTML5対応ブラウザーでEPUBをビュワーできるようになったこと、そして楽天から電子ブックリーダー「kobo Touch」を7,980円でリリースというニュース。ePubによる電子書籍時代が日本でもようやっとスタート!というバルーンが打ち上がったかのような勢いです。
今回目についたトレンドとしては、ウェブブラウザーでePub3形式の電子書籍を見られるという技術。こうなるとWebのパッケージ化されたコンテンツという位置づけにシフトしてきましたね、電子書籍。
ネットにつながってなくても手元デバイスで見られるというのが、ダウンロード型電子書籍のイイね!な点でした。ネットにつながってなければ見られないとなると、本でなく、TwitterやFacebookに行ってしまいそうです(笑)

<画像:BKfair-1.jpg>

日本で電子書籍というと、iPadをデバイスにしてページをめくっていくイメージが強いのですが、米国ではAmazonのkindle(キンドル)も強力。kindle Touchは液晶ディスプレイで、テキストベースのページと、グレースケールのコミックページを表示できます。
そのkindleのお仲間としてこの度登場したのが、楽天のkobo Touch。
大きさは手のひらに収まる調度いいサイズ。そしてグレースケールの液晶画面。
液晶画面は、iPadの精細なフルカラーRatinaディスプレイ画面を見た後だと、地味な印象は避けられません。光による目の疲れがないという利点は合点がいきますが、1つ個人的に気に入らない点があります。それは、ページの切替時、画面が一瞬白黒反転すること。kobo Touchもkindleも同じです。そこが、感覚的に不快なんですよね。全面白地でクリア感を出すのならよかったのに。液晶の場合仕方ないのかもですが、Appleだったら絶対このままにはしないだろうと予想できるだけに気になります。

なんにせよ、この勢いによって、コンテンツが増えていくのは喜ばしいことです。
所有欲を満たす「お金を払ってくれる」行為は、紙の本に軍配があがるでしょうが、場所をとらずに本の中身を情報として管理したいニーズには、正式な電子版があるべきでしょう。
しかも電子版は、一度購入したらクラウドでどのデバイスでも永久的に閲覧できるのならいい。ダウンロードや閲覧に期限が設けられているのは所有感のない「レンタル」でしかないので、格安にすべきです。

ブックフェアでは、紙の本の出版社も出展しており、マニアックな本を出している「国書刊行会」やアートブックを出している「青幻舎」、「創元社」の展示販売にワクワク。思わずじっくり見回ってしまいました。所有欲は、装丁された本になったものに動くものなんですね、やっぱり。

<画像:BKfair-2.jpg>

今回展示の視察だけでなくセミナーも受けました。これがなかなか市場の現実を知るのに有用でした。
日本の電子書籍市場は、その売り上げの殆どが[BL(ボーイズラブ)、TL(ティーンズラブ)、成人男性向け]で占められているらしいです。それ以外は、まったく金にならない。エロでないと、金を産まない。ランキングを見て、うすうす気づいてはいましたが、やっぱりそうなんですね。しかもその売り上げ規模の9割は、ガラケーからのもの。
ちなみにエロといっても、オタク系ではダメなようです。オタクは、所有欲を満たすためにお金を使う種族ですから、手に取れる紙の本のカタチであることが大切とのこと。...分かります(笑)
この現実を、新しい技術の発達によって軌道修正することができるのでしょうか。

米国での電子書籍の成功は、日本のようにどこにでもコンビニがないため、データででも本を購入する動機になっているらしいとのことで、ランキングにもエロなタイトルが並ぶことはありません。

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