さまざまな活動の最前線に立つキーパーソンが語る極上のプレゼンテーションとして、昨年からじわじわ人気を高めている「TED」トーク・アーカイブ。
今知っておくべき「智」「考え方」「情報」を、自宅にいながらムービーで観られる恩恵に、あらためてWebのアカデミックさを感じずにはいられません。
日本では「最良の英語教材」として人気を集めていますが、私の場合は英語力よりも自分に足りないアイデアや考え方を得たい!という目的で、日曜日の寝る前、2本3本とつづけて観てしまうことが多いです。
幅広い分野のテーマは刺激になりますが、20分弱に収められたトークの手法には、「人に伝えるためにはどう語るべきか」というプレゼンテーションの秘訣が詰まっています。
TEDの厳選トークを「スーパープレゼンテーション」というタイトルで、NHK Eテレでも月曜日にオンエアしています。英語の良質な教材という側面も生かしつつ、やはり「スーパー」なプレゼンテーションを観て学べるのが売りの番組です。
講演者にとって、自分の活動を20分で説明するのは相当難しいと思います。
たとえば「子供たちに食の教育を」を語ったジェイミー・オリバー。彼は少なくとも2つのテレビドキュメンタリー・シリーズによって、ジャンクフードにまみれたアメリカの学校給食がいかに肥満を広げているかを問題視し、食に対する興味と意識をもつ運動の奮闘する姿を伝えています。それだけ観てもかなりの時間数になるのを、20分以内で伝えるには?
TEDでジェイミーが行ったのは、問題の深刻さを身近なもので再現するとこんなに異常!というパフォーマンス。そして具体的な事例のポイントを絞って紹介。
僕はたまたま彼の活動をドキュメンタリー・シリーズで観ていたこともあって、20分に圧縮しつつ要点をおさえたプレゼンテーションに拍手!だったのですが、他のみなさんもきっと同じなのでしょう。
評価の高いのプレゼンテーションに共通しているのは、説明するのではなく語りかけていること。観客が共振するための言葉を意図的に繰り返し丁寧に語りかけていること。そして、日常生活と地続きにある身近なものを使って比喩すること。最後に、上から目線でないこと。
仕事でこの方法論を生かしたいと思いつつ、企画の提案というと、どうしても「納得してもらう」ことに重点が置かれます。あまり強く畳みかけても、人はたいてい引いてしまうもの。「共感してもらう」ところまででいいのかもしれません。共感がしっかり伝えることさえできたら、成功なのかも。
Keywords: TED, プレゼンテーション