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江戸しぐさという知恵

2008年3月19日 MONO & KOTO

日テレで2夜連続放送されたドラマ「東京大空襲」、見入ってしまいました。
力が入ってましたね。のちの世代に伝えていかねばならないことです。

伝えていくべきことで思い出したことがあります。
地下鉄構内のマナー広告にもあった「江戸しぐさ」。
なんのこと?ってはじめは思いました。

「江戸しぐさ」は「江戸思草」と漢字で表すように、
江戸時代の都市・江戸に住む商人の生活哲学、町民のマナーでした。
戦のない江戸時代、日本中から江戸に人が集まりました。
そこはまさに慣習・文化の異なる人間のるつぼだったんですね。
そんな都市でお互いを思いやって、お互いに商売をうまくやっていこう
と生まれた知恵であり、心意気だったのが「江戸しぐさ」。

狭い路地で対面する人とすれ違うときは、お互い右の肩をうしろに
引いて、胸を向き合わせてすれ違う「蟹歩き」とか、
つい人の足を踏んでしまったら、「すみません」と当然謝りますが、
踏まれた方も「うっかりしてまして」と言ってお互い会釈する
「うかつあやまり」とか。

日常の些細なことでも、お互いルールを守ることで、
トラブルになりそうなシーンを回避できる「江戸しぐさ」。
商売をする人にとっては、「うっかりしている」ことが
一番かっこ悪いことだったらしいです。
さっきの足を踏まれた人の場合、とっさに状況を読んで避けられなかった
ことが「うっかり」だったってわけ。う〜ん、粋じゃないですか!

こういう心意気、今でこそ「TOKYOしぐさ」として必要ですよね。

とくに些細なことでトラブルに発展しやすいネット上の
コミュニケーションで、気にくわないから相手を攻撃するのではなく、
お互いにいやな思いをせずに「伝える」「受け入れる」「謝れる」
知恵があればなぁとは思います。

「江戸しぐさ」は、リーダー格の人たちが作った知恵ですから、
組織で使える気配りもあります。
先に声をかけるのは、年下ではなく年上の者から。
その方がうまくいく、それが先人の知恵。
自分を磨き、そして相手を尊重すること。
みんなで賢くWin Winになりましょうや!という江戸気質。
偉そうに語ってますが、自分もその知恵を知りたいと思っている
聞きかじりです。


追記:昨日の「IT PRO Watcher」に、"江戸しぐさ"ならぬ"ITしぐさ"
という増岡直二郎さんの記事がありましたよ、と教えていただいた方
がおりました。まさに!という内容でした。ありがとうございます。

written by Hidden:アイデアビューロー・Webチームのアートディレクター。

コメント

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  1. 01

    Posted by きらら 2008年3月22日 21:35

    祖母から「これが礼儀なの」と教わったことのほとんどが、
    江戸仕草であることを、メトロの広告で認識しました。

    世界最大の100万人都市・江戸。武士50万人、町民50万人。
    人口の半数を占める町人の居住区域は、江戸全面積の20%。
    男女比、10:1。超過密の男過剰状態から生まれたのが、
    対立じゃなくて譲り合い精神というのはおもしろいですよね。
    スリなどの犯罪も多く、それから身を守るためにも、
    「他人に不用意にさわらない」のが常識だったのもありますが(笑)

    そういえば当時の江戸は、やはり世界最大のリサイクル都市
    であったというのも、情報バラエティ番組等でもっと取り上げて
    ほしいテーマでもあります。
    江戸の華といえば火事とけんかですが、火事のあと、大名屋敷の
    焼けたけど使える太い柱などは、長屋の再建に使ったとか、
    排泄物は有機肥料として近隣農村地帯で有効利用されたとか。

  2. 02

    Posted by Hidden 2008年3月24日 09:24

    きららさん>>

    いっとき、江戸の文化を紹介するテレビ番組がいくつか
    集中していましたよね。スキなので僕も観ていましたよ。

    人口の2/3が男だったらしいですが、10:1の時も
    あったのですね。男子校のような都市!
    時代劇は歴史劇ではなくコスチューム・ファンタジーもの
    であることを前提に観るモノですが、
    画面にうつる人のほとんどが男、男、男、という男祭り、
    であったことを考えると、女性が集中していた吉原という場所
    の特別さを思い知ります。

    女性に走らない、朝顔や金魚の交配・品種改造にはまった
    オタクな男もいましたしね。

    男社会ですから、江戸しぐさというトラブル回避マナーは
    必要だったんでしょうね。

    あと究極のリサイクル都市だったということで、排泄物も
    肥料として収集していくら、という機能があるのを知ったのも
    驚きでした。

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