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家具の音楽

2008年3月27日 Creatorsトーク

Webページに、バナーでもナビゲーションでもイメージムービーでもない、オブジェのようにそこにあるだけのリピートFlashを置きたいと思ったんです。
そこでオーサリング担当のNOBIさんに、「決して主張しない、"家具の音楽"のようなムービーにしたい」とイメージ伝えたことがありました。

家具の音楽?

......をっと、いけない。また自己完結型の言葉を使ってしまった。

「家具の音楽」というのは、エリック・サティが1920年に発表した、<家具のように、そこにあっても行動や会話を妨げない>簡素な音楽です。
エリック・サティといえば「ジムノペティ」という曲が有名ですから、聞けば「ああ、この曲」と思うはず。
サティの「家具の音楽」というコンセプトは、アンビエント・ミュージックというジャンルが存在する現在とマッチしているせいか、サティの歌曲をのぞく曲すべてが、BGM向きと思われてしまっている傾向はあるのですが...

実際に「家具の音楽」として発表されたのは後期に3曲だけだったかな。
聞いたことはあるのですが、どんな曲だったのかは覚えていません(笑)
耳を澄ませて聞く音楽ではなく、BGMのような同じフレーズが何度も繰り返される簡素な曲だったということだけ記憶にあります。
家具のような…とはうまく言ったものだと思いました。
思い出せないから、もう一度聞いてみたいと思って、自宅にある「コンプリート・オブ・エリック・サティ」10枚組CD-BOXを探しましたが、収録されていませんでした(コンプリートじゃないじゃん!)

考えてみれば、Flashムービーの置き方の問題でなく、CMSのテンプレートデザインでは、コンテンツ部分に集中できる、家具のようなベースデザインが求められたりするものです。
気に障らない、混乱させない、雰囲気を作る主張しない装飾は、サイト訪問体験のおもてなしとして必要だと考えています。

マークアップ視点では、文書として意味づけのない装飾、しかも主張もない装飾なんて「なくてもよくね?」とカンプに赤でチェックを入れられそうですけどね。
シンプルだけど、心地よさを演出したい、その雰囲気づくりなんですよね。
主張のない装飾をあえて置きたいというのは。
お客様を部屋へ招く1時間前に、ルーム・フレグランスを用意する。
そんな感じです。

written by TZK:アイデアビューロー・Webチームのアートディレクター。

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